reductionismの語源にreduceやreducionがあり、元々reduceは「減らす」、reductionは「減らすこと」や「減少」という意味である[17]。概念や法則の多様性を減らしてしまうという意味で、reductionismという用語が用いられている[18]という。
自然科学の領域では、"最下位"とされるとされる階層は、原子から素粒子へと移りかわってきたものの、素粒子論が扱うような微視的世界と古典力学が扱うような巨視的な世界の間には、埋めることのできない理論的なギャップがあることは指摘されている[19]。巨視的階層の事物・事象を微視的階層に完全に還元することは、実際上は不可能である[20]。
還元主義に陥っていることが端的に表れている表現として「.....にすぎない」や「...にしかすぎない」というものがある[21][22][23]。 還元主義に関してしばしば問題となるのが、この「?にしかすぎない主義(nothing but ...ism)」 とでも呼んだほうがよいような極端な主張である[24]。
還元主義の歴史は古く、古代ギリシャまで遡ることもできる。(→#歴史)
否定的に語られる還元主義だが、近代科学の発展にそれなりに寄与した面もある。(→#成果)
近年では還元主義の難点を認識する人は増え、科学の領域でも「複雑系の科学」が生まれ、また「創発」など様々な概念を用いて、ものごとを理解しようという試みが続けられている
つきつめて考察すると、還元主義の問題は哲学の歴史と同じほどに古いともされ、古代ギリシャまで遡ることも可能だという。たとえば古代ギリシャの哲学者・自然学者らが、万物の根源(アルケー)について論じ、アルケーは水だ、土だ、などと論じたのもある意味での還元主義であるともいわれる。同じく古代ギリシャの原子論や四元素説なども、世界のすべてのものを「アトム」や「元素」に還元しようとするものであった[25]、とも言われる。
近代においては、還元主義を生むきっかけとなった考え方は、デカルトにより1637年に刊行された『方法序説』の第5部において提示された。デカルトは、世界を機械に譬え、世界は時計仕掛けのようであり、部品をひとつひとつ個別に研究した上で、最後に全体を大きな構図で見れば機械が理解できるように、世界も分かるだろう、という主旨のことを述べた。(ただし、デカルト自身は、正しく理解するためにはひとつたりとも要素を脱落させてはいけない、といった主旨のことも他のくだりで述べていることに注意する必要がある。)[26]
デカルトが「分解し、網羅的に調べ、後に統合する」という考え方であったのに、後に別の人々によってこの前半の「分解」ばかりが強調され、しかも一部の要素だけに言及してそれだけで事足れりとする者が現れ、還元主義となってゆくことになった[要出典]。
1961年にエルンスト・ネーゲルは還元主義を理論間の関係と定義した。この理論的還元のもっとも困難でもっとも独創的な部分は、二つの理論を「橋渡し」することである。例えば「温度」は「気体分子の運動エネルギー」と還元できる[27]。ネーゲルはこの種のより正確で実験的な法則を理論的に還元することが、科学的知識の進歩をもたらすと考えた[28]。しかしこの論理実証主義的な視点の還元主義はファイヤアーベントらによって論理実証主義とともに批判された[29]。ある理論の用語と別の理論の用語が全く同じ意味に用いられることはまれで、従ってある理論は他の理論に翻訳できない(通約不可能性)。しかしネーゲルの理論的還元の概念は、厳格なタイプはほとんど成り立たないことが明らかとなったが、科学哲学における還元主義の議論に影響を残した。
オッペンハイムとパトナムは科学理論の階層モデルに賛成した。彼らによればこの意味での還元主義は科学界に浸透している。例えば社会学と経済学は集団レベルの現象を心理学の用語で説明する。心理学は個人の行動は生理学で、生理学は筋肉の働きを神経化学の用語で説明する[30]。しかしこれは上位レベルの説明が不要になるという意味ではない。
ケネス・シャフナーはネーゲルの理論的還元主義を修正した。シャフナーは還元する理論が還元される理論を修正した物であるという考えを取り入れ、この改訂モデルがより良く自然科学の還元を捉えていると主張した。例えばシャフナーは遺伝学の分子理論が発展したことによって、優劣の法則のような古典遺伝学の理論も物理化学の法則から引き出せるようになったと主張した。これはつまり、改定された分子遺伝学が古典遺伝学よりも正確だということである。シャフナーはそれによって古典理論が取り除かれるとは主張しなかった。彼は理論的還元が成し遂げられないときでも還元の実り豊かさを強調した。例えば、生物の分子構造を発見する努力は、高次レベルにおいてもしばしば有益だった[28]。
化学物質過敏症
特定疾患
オーケストラ
バーベキュー
スキンケア
学童保育所
衛生
合気道
ホスピス
試写会
材料科学
システム工学
哺乳類
クリスマス
遺伝子疾患
食品添加物
ボクシング
履歴書
バレーボール
労働組合
ケネス・ウォーターズは修正された理論的還元主義に対する立場をレイヤーケーキ反還元主義と呼んだ。この反還元主義視点は多層的である。上位レベルでは遺伝現象を説明しようと試み、下位レベルでは遺伝物質の発現や複製を説明する。しかしウォーターズによれば、反還元主義が示す議論は実際の科学と一致しない。DNAと遺伝子は異なる概念なので分子遺伝学と古典遺伝学が結び付けられないという反還元主義の主張は正確ではない。レイヤーケーキの概念は同様に生物学の全分野に広げることができる。それぞれのレベルにはそれぞれのレベルをもっとも良く説明する理論がある[28]。多層性の概念は還元主義と反還元主義の双方に共有されている事に注意するのは重要である。しかし全ての還元主義者が多層性を受け入れるというわけではなく、いくらかの反還元主義者は全体論を提唱することに関心がある